クラウドワークス副社長が語る【AI時代に持つべき危機感】

こんにちは、Aidemyにてエンジニアをしています小川です。

突然ですが、トフラー「第三の波」という書籍をご存知でしょうか?

人間の歴史を紐解くと、 大きく分けて2つの大きな波「革命」が起きたと言われています。

第一の波🌊 狩猟時代から農業時代となり定住と食の安定による富の蓄積もたらし加速的文化の発展をもたらした「農業革命」

第二の波🌊 蒸気など自然エネルギーを力に変換する技術の開発により、圧倒的生産力のある機械が生まれさらに加速度が増した「産業革命」

そして今、第三の波「情報革命」が起きようとしています。

2015年12月 野村総合研究所がイギリス・オックスフォード大学と行った共同研究によれば、 「国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算した結果、10~20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られた」 (出所:野村総合研究所 「国内601種の職業ごとのコンピューター技術による代替確率の試算」)

なにかとAIの話題が多くなり、確実に避けては通れない革命の波。 そんな時代の中、AIに仕事が取られるかもしれないと危機感を募らせている人も多いのではないでしょうか。

今後どのような時代になり、どのような立ち回りをすべきなのか、 クラウドワークスのCOO “成田修造” さんにインタビューをしてきました。

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成田修造さんの経歴(https://crowdworks.co.jp/ir/officers より抜粋) 慶應義塾大学在学中よりアスタミューゼ株式会社に参画。 オープンイノベーション支援サービス「astamuse」の事業企画を手掛ける他、 大手人材紹介会社との提携事業を立ち上げ、サイトディレクション、 Webマーケティングなどを担当。 その後、株式会社アトコレを設立し、代表取締役社長に就任。 アート作品の解説まとめサイト「atokore」の立ち上げやiPhoneアプリ開発などを行う。 2012年より株式会社クラウドワークスに参画、学生でありながらインターン生から執行役員に就任。 2014年8月、同取締役に就任。 2015年4月、同取締役副社長に就任

輝かしき経歴すぎて目が開けられないですね、、、 成田さんは、持つべき危機感は変化に置いてかれる危機感であり、変化に対応するにはソフトウェア、IT、AI分野の勉強は避けて通れないという。

インタビュー

小川:一般的に人工知能AIは万能だと思われていて、人の仕事が変わると言われていますが、AIについてどういうものだと考えていますか?

成田さん:現状だと、意外とAIのできることは限られている認識です。 事務的な処理など“特定の目的に沿うもの”は得意分野であると考えていて、 すぐに置き換わると考えています。例えばレジ、運転、倉庫整理など。 深層学習でも、画像識別分野においてはブレークスルーが起きていますが、 それ以外にはまだまだこれからですし、 “今人が考えてレベルの複雑な作業を要する知能分野の仕事”では、 人間と機械が代替する未来は、すぐ来るとは考え難いですね。

小川:具体的にはどれくらいだと考えていますか?

成田さん:具体的なところはわからないですが、50〜100年タームで本格的に入れ替わるとか、それくらいで捉えていいますね。 2045年にシンギュラリティが来ると言われていますが、その頃にようやく変化が出て来る。それくらいの時間感覚で捉えています。

小川:まだ先の未来でそこまで危機感は感じる必要はないということですか?

成田さん: いえ、危機感は持たないとまずいと思います。 たしかに現状AIのできることは限られていますが、 その制限の中で、技術はここ数年で非常に早く進化しています。 その変化は極めて早いので、その変化についていかないといけない。 人間以外がやった方が良い分野を見極め、どうAIを活用するかを考えないといけないと思ってます。

小川:なるほど。入れ替わることに対する危機感というよりは、進化していく技術をどう取り入れるかという点において危機感があるということですね。 どのように取り入れるかはAIのこと自体を知らないとできないような気がしますが、そのような学びたいニーズ・危機感みたいなものはありますか?

成田さん: そうですね。あります。経営者としてもAI、というかその技術である機械学習などの学習は必須だと思っています。 多くの人が危機感を持っているかわからないけど、僕は持っています。

小川:経営者として、ですか。そんな中、成田さんは具体的にどのような行動をしていますか?

成田さん:そうですね。勉強しています。 AI分野のホットトピックとして機械学習があり、深層学習があり、強化学習があり、それらの数学的な裏付けやロジックを勉強することで、それぞれの手法の何が得意で何が苦手なのかを学んでいます。 具体的には、本読んだり、セミナー行ったり、エンジニアに聞いたり、本質を理解し、どう社会やビジネスを変えうるのかを自分で考えられるようにと思ってます。

小川:Aidemyの勉強会にも参加してくださっていましたね。 今の話は、経営者として必要なこととしてご自身で行動なさっているという話でしたが、経営以外の業務に携わる人についてはどう考え、どう行動をするべきだと思いますか?  

成田さん:AIのできることを考えると、例えばマネジメントのような、複数の情報源を元に不確実なリスクとリターンを考え、意思決定をする、みたいな仕事。単純な数値化やフローにしにくい仕事はまだ入れ替わらないと思います。 一方で単純な事務みたいな仕事は普通に考えたら、急速に置き換わると思います。 そうなって来ると、別の仕事重要度が増して来るはず。 形式的に仕事をしていることがなくなっていき、コミュニケーションやエモーショナルな仕事が増えていく。短期的にはそういう仕事の重要度が高まる気がします。 あと、どんな仕事や産業であっても、IT・AI化の波は避けられないので、ソフトウェアの仕事の重要度は高まる一方ですよね。ソフトウェアの知識を学んだ上でそれを開発するのか、売る人になるのか、得意は人によって異なりますが、現代においてソフトウェア分野を学ばないという選択肢はないでしょうね。

小川:避けられないIT化の中で生きていくには、勉強は必須と言っても過言ではないということですね。 このような危機感を成田さん自身感じて、行動に移していると思いますが、周りを見ていて他の人はどうですか?危機感自体は感じていますか?   

成田さん:クラウドワークスはIT系の会社ですから、比較的危機感はある方だと思いますが、 問題は、大手企業はどうなのかってところですよね。 優秀な人がITやソフトウェアの世界にまだ流れ込んでいない。 IT化についていかないと日本がまずいですよね。

小川:日本の就職人気ランキングを見ても、10年前と同じですね。 少し話変わりますが、このIT化の波を受けて、クラウドワークスのクライアントのニーズはどのように変化していますか?  

成田さん:クラウドワークスとしても一般論としてもハイエンドなエンジニアニーズはすごく高まっていますね。

小川:エンジニアの中でもどういった言語の技術者のニーズが高待っているなどありますか?  

成田さん:クラウドワークスでは様々ですね。一般論ではデータ分析の分野でPythonの技術者のニーズが高まっていますね。 あとは、データを使う大規模なシステム開発では、 PHPや Ruby on Rails はニーズが少なくなってきている一方で、 ScalaやJavaのニーズが高まる匂いはしますね。 あとは、データが王者の時代なので、データそのものを集める仕事が増えてきていますね。

小川:DB設計のような仕事ということですか?  

成田さん:いやもっと誰でもできるような教師データを集める仕事です。例えば、翻訳機能の学習データのために翻訳データを作ったり集めたりする仕事。 機械学習でもディープラーニングでも、正解不正解の教師データを始めは集めないといけないからね。そういったデータを集める人のニーズはアナリストと比例して増えていますね。

小川:なるほど。ありがとうございます。 この時代が進んで、遅かれ早かれAIが人の仕事を奪うようになると、生産性が変わらず、人が余るという事態に陥り、ベーシックインカムという制度になるような気が個人的にはするのですがどう思いますか?

成田さん:論理的に考えたら、ベーシックインカムのような整備があった方がいいと思います。ただ、そこには倫理や哲学的な話も入って来るので、相当ドラスティックにやる人が必要だし、できるかはわからないです。

小川:論理的に考えたらとはどういうことでしょう?  

成田さん:AIによって、不要になる仕事が必ず出てきます。そうすると人は暇になっていく。これがマクロのトレンドだと思うんです。 その人を企業が養うために雇うか、国が養うべきかという話になります。 自分は後者、つまりベーシックインカムがいいと思っています。 何故ならば、企業がお金をつかい、その人たちも貢献しない時間を使うよりは、その人たちがその時間でお金を使った方が良いし、企業もその人たちを養わない分、余ったお金を次のテクノロジーに使えます。 ただそこにはそれでいのかという倫理的問題がありますが。だから難しいです。 人間は高度化しすぎていますよね。 もっと動物的にローカルな環境で生きていってもいいと思います。

小川:昼からお酒みたいなイメージですか?   

成田さん:そうですね。 時代が進むと、一部の人が富を稼いで、ローカルな人に分配するようになる。 現にアメリカや中国を見ていると、そういう歴史になっています。 そうなってくるともっとローカルな環境での生活になります。

小川:働くために生きるというより、生きるために生きるみたいになると。

成田さん:そうですね。 それが問題かどうかは倫理や哲学の問題で答えを出すのは難しいです。 その流れはどっかで変化するかもしれないですが、IT・AIによって加速する確率はかなり高いというのが自分の思っていることですね。 それでも、社会に対して何かしたいという、ある種謎の野望を持つ人は一定数いて、そういう人たちは、このIT・AIの加速的進化を踏まえるべきで、 必然的にソフトウェアの知識がないのはありえない。 知識を入れた後、エンジニアなのか、マネージャーなのか、売る人なのか を選ぶみたいな話になって来ると思います。

小川:最後まとめてくださってありがとうございます。 経営者として、加速するAIの世界で、ITをどう活かすかに危機感を抱き、自ら積極的に勉強をしているという成田さん。 AIが仕事を奪う世界はすぐではないが、いずれ来る。 その中で、どう考えどう生きるのか? 考えるきっかけになればと思います。 改めて成田さんありがとうございました。

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